横浜・明日への提言<84> 早起き早寝を励行しよう
代表取締役社長 藤木幸夫
(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長、株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)
子どもの頃、学校の先生や親から「早寝早起き」を勧められた思い出を持つ人は多いはずである。多くの場合「早寝早起きが健康の秘訣」という意味でいわれたのだと思うが、健康であること自体は人生の基本ではあるけれども目的そのものではない。世の中のため、人のために何をするかが生きる目的で、そのための健康であると私は考えている。
一日生涯という言葉がある。一所懸命を懸命に一生つづける。明日はまだこないのだから今日一日を生きるのが大事だ。その一日を早く寝ることから始めてよいのか。
だから、私の場合は早寝早起きではなく、早起き、早寝。早く起きることが何より最優先される。朝起きてまず時計の針を合わせる。ゼンマイの時計ならネジを巻く。電池なら新しい電池を入れたというようなことだろうか。それがその人の一日の始まり。すると、その人のいのちの燃焼時間が4、5時間長くなる。朝の4時に時計を合わせると早寝の時間が決まる。どんなに遅くなっても8時か9時。どんなに観たいテレビの番組があってもビデオに録画してあとで観れば済むことだ。このように迷わず「早起き、早寝」を規則正しく一年365日やってごらんなさい。どれだけ多くの時間を有効に使うことができるか。生涯それを貫いたら「早起き、早寝」を怠ってなんとなく一日を生きる人との差は大変なものになる。
ところで、なぜ、世のため人のためなのかというと、その人の志がその人の品格を決めるからである。自分の利害しか考えないでいると、いつしか結果ばかり欲しがる悪い癖が身について、やり方を誤まってしまう。不正行為や不当な手段で得た利益や成功は人前で胸を張れないから常に後ろめたい気持ちでいなければならない。そんな人が世の中の尊敬を集めたり、人々の信頼を得るはずがない。
したがって、時計の針を合わせたら、次は一日に何をやるかを決めて時間を配分する。ここでも早起きで得た時間がものをいう。時間のゆとりが気持ちに余裕を生み、目的意識で気分が高揚する。やることなすことうまくいくとは限らないから、時には失敗することもあり、毎日が判で押したように流れるわけではないが、目的意識がしっかりしているから失敗がかえってメリハリを生む。失敗したら反省して、しっかり総括し、明日の課題にすればいい。
よく年を取ると早起きになるといわれる。私は来年で80になるが、年齢のせいで早起きしているわけではない。生きている間にやりたいこと、やっておかなければならないことがいっぱいある。そのために早起きしなければならないのだ。みなさんも私のように「早起き、早寝」に励まれるようお勧めしたい。