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2009年11月15日 (日)

横浜・明日への提言<85> フォーラム・ディスカッションのすすめ

85

横浜エフエム放送株式会社
代表取締役社長 藤木幸夫

(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長、株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)

 前からこうあるべきだと思って、機会があるごとにいいつづけてきたことだが、講演会に出席してプロの講師の話を聞いて、それが果たしてどれだけためになっているのか、国民的規模で考える必要がある。一人だけべらべらしゃべって、その他は「さよなら」というのは、非常にまずいと思う。
 フォーラムは広場とも訳されるが、意味としては「井戸端会議」がぴったりする。それからシンポジウム、これはプラトンの『対話編・饗宴』(原題シュンポシオン)から生まれた言葉で、砕いていえば酒を飲みながらしゃべろうということ。広く普及しているシンポジウムはテーマにしばられて難しい顔で討論するものだから本来の語源からちょっとずれている。
 ブレインストーミングというか、談論風発風に自由にディスカッションするのが本当で、あえていうならフォーラム・ディスカッションかシンポジウム・ディスカッションである。その反対がパネル・ディスカッション。こちらは専門家をパネラーとして呼ぶ。パネラーはそれぞれ自分の得意分野のことをしゃべる。一般の人がわからないことを聞いて、「なるほど、そういうものかなあ」と納得する。しかし、それでは考えが深まらない。
「俺はこう思うんだけど、おまえはどうなんだ」
 お互いに意見をざっくばらんにやり取りする文化、一緒に参加して一緒になって何かする文化、皮肉なことに物のない時代にそうしたカルチャーが出来て、斬新なアイデアが生まれ、生活を一新するような製品や商品がつくられてきた。
 今はどうかというと、若い人たちはメールでのやり取りが主流だというから、驚くと同時に将来が心配になってしまう。世代交代が時代の進歩に結びつくようにするには、お互いに意見をぶつけ合う機会をもっとつくり出すことが必要なのではないか。
 しからば、どうしたらよいのか。フォーラム・ディスカッションが井戸端会議であるためには、だれが何をいったかわかるようでないと意味がないから、まず人数を15 人以下に制限する必要がある。内閣が「15人から17人程度以内」と制限されているのがよい例である。
 次に自分が意見をいったら今度は相手の意見を聞く態度を叩き込む。マナーとルールを徹底して、自分も邪魔されない代わりに、相手の邪魔もしないようにする。そして、これが一番大切なことで、少数意見を尊重する。ただし、誤解してはいけない。意見が多数だから質的にもすぐれているということでもないし、逆に少数意見に限って質的に正しいと取り違えないことが肝要だ。少数意見の尊重というのは多数意見の質的検証を怠るなという警告なのである。