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2008年10月31日 (金)

横浜・明日への提言(61)衆参両院議会選挙区の世襲、是か非か

61

横浜エフエム放送株式会社
代表取締役社長 藤木幸夫

(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長兼社長、 株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)
   
 中国宋の時代の周敦頤、程明道らに始まり朱熹(しゅき)に至って大成した儒学が朱子学である。徳川幕府が官学として広めたことから日本人の心に道徳として根付いた。その朱子学の教えに「みずから退くことを知る人に地位を与えろ」というのがある。権力の虜になって地位にしがみつくような人間は最初から地位に就かせるなということだ。事実、地位に連綿として居座るだけで害にしかならないような人間が多かった。だから、後進のために辞めどきを知る者を選べというわけである。
 ところが、昨今は、日本国総理大臣の職が二代にわたって放り出されてしまった。もちろん、退くことを知っているとはいいがたい辞め方である。権力の座に執着しないというより、もろくもあるし、無責任の謗りを免れない。どうしてこんなことがつづいて起きたのか。
 世襲議員が増えたためといえなくもないが、それが原因のすべてともいえないだろう。世襲のすべてを悪と決め付けてしまったら魔女狩り的な批判になってしまう。私の考えでは地方自治体の議員、県会や市会の議席は世襲でもよいと思っている。地域社会に奉仕するのが目的だからおじいちゃん、オヤジ、息子とつづく人間関係が逆にものをいう。
 だが、国政となると、地域とのしがらみを越えて大所高所から物事を見、考えて、国全体のために働いて貰わなければならないから、そうはいかない。国政の議員と地域の代表としての県会・市会議員の役割の違いを勘案して分けて考えないとおかしなことになってしまう。
 しからば、どうしたらよいか。
 イギリスのブレア前首相は「我が党は二世の候補による選挙区の世襲を認めない」と宣言して、二世候補がどうしても出馬するというときは親の地盤とは別の選挙区から立候補するように仕向けた。政党で二世の世襲を規制するわけだから法律にはしばられない。ブレアがやる気になったらやれたことだ。
 だから、法律で規制する必要はない。日本の政党の党首がその気になればすぐにやれるわけだが、自民党も民主党も二世議員がなっているから議題にもならない。
 もっともブレア方式のような選挙区世襲阻止を訴える声は日本にも以前からあった。結局、やるか、やらないかの違いである。この違いの差は実に大きい。ある意味では自治体の首長の三選禁止論議などよりはるかに切実で喫緊の課題ではないだろうか。
 ここに問題提起して提言とする次第である。