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2008年1月 1日 (火)

横浜・明日への提言(42) 年頭所感、川の流れのように

42

横浜エフエム放送株式会社
代表取締役社長 藤木幸夫

(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長兼社長、 株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)

  みなさん、明けましておめでとう。今年も明るく健やかに元気で素直に生きましょう。私の年頭所感は、川の流れのように・・・。
 私は77回目の正月を迎えたが、思うところあって脱アンチ・エイジを決意した。年甲斐もなく張りきらない。私はまだ若いなどと肩肘張らない。若い者にはまだ負けないなどという挑戦的ポーズはやめる。
 年齢相応、すなわち、川の流れのように・・・。
 去年までの私はアンチ・エイジの生き方をしてきた。やらなければならない大きな仕事が残っている。責任も重い。頑張らなくっちゃ。それには体力の衰えを防がなくてはというようなことで、毎朝、本牧から横浜都心の会社まで歩くことを義務のように考えて実行してきた。ところが、ある日、途中で突然気がついたことがある。朝が早いからまわりに人がいない。私は携帯電話を持たない主義だから、何か身体に不調があったとき、気づかれないまま大事に至りかねない。志半ば、責任の中途で倒れることだけはしたくない。そこで脱アンチ・エイジを決意したわけである。
 ただし、歩くのをやめたわけではない。77ともなると体の諸機能のエンジンのかかりが遅くなる。寒い朝、いきなり外へ出て、「さあ、歩け」というのはいかにも酷である。ならば、体が十分に温まった帰宅時に歩く。だから、まだまだ歩く。
 生涯現役は親譲りのモットーだから、老衰して体がいうことを聞かなくなるまで働く。ただし、若い者にはまだ負けないなどという挑戦的ポーズはやめる。世代の交代は大歓迎。どんどん追い越していって貰いたい。追い越す手助けもしよう。決して場所はふさがない。
「どうぞ、お先に」
 歩きながら後進が追いつくのを待つ、それもまたよし。
 若い世代の人たちも、しなやかで馬力のあるエンジンを持っているのだから、「シーラカンスは引っ込め式」の挑戦ではなく、実力で突っ走って、早く追いつき、追い越して貰いたい。脱アンチ・エイジを決意してから、その瞬間を期待する楽しみが生まれ、ますます気持ちに張りが出てきた。
 以上が私の年齢相応、川の流れのように・・・。
 若いみなさんは私の年齢相応とはかなり違うと思う。体力、気力とも充実しているのだから、時には立ち止まり、あるいは疾走し、緩急自在に「お先に、失礼」でいって貰いたい。
 それが最もフェアな世代交代ではないだろうか。
 だから、戸籍の年齢比較だけで「老害」「場所ふさぎ」などとはいわないで欲しい。いえば自分の将来に唾を吐くことになってしまう。
 年齢相応に、川の流れのように、私は歩きながら、仕事をしながら、今年もフェアな世代交代を楽しみにして待つ。
 本年も、どうぞ、よろしく。