ヨコハマ ストーリー 第40回 「私の弘明寺物語」
魅力あふれる街、ヨコハマ。
この街が世界の表舞台に登場したのは今からおよそ150年前。ペリー艦隊が来航した時からその歩みは始まりました。そして今もヨコハマはユニークな街であり続けています。そんなヨコハマの由緒あるスポットを舞台に,物語と音楽で紡いでいく「ヨコハマ・ストーリー」きょうは、「私の弘明寺物語」
真っ赤な電車で知られている京浜急行電鉄は、東京・品川の泉岳寺と神奈川・三浦半島の先端を結び、通称・京急とよばれる。この沿線には、しっかりと昔の名前で頑張っている街が多い。そのひとつ「弘明寺」。横浜駅から急行で10分余りの弘明寺は、観音様のほかにアーケイドになっている商店街が中高年層に人気で全国からも注目されている。
弘明寺観音は、今からおよそ1200年前、平安時代に開かれた横浜で最も古いお寺である。木像の観音像は国の重要文化財で、ほかにも、身体の悪いところをこすると、代わりとなって治してくれるという身代わり地蔵も有名で、縁日には多くの人がお参りに訪れる。大晦日にはかがり火が焚かれ、元旦も多くの初詣客で賑わいをみせる。
弘明寺というと、今でも昔を思い出してしまうことがひとつある。
放送局のアナウンサー試験を受けたとき。フリガナを付けなさいという設問に「弘明寺」がでてきた。横浜育ちの私は、当然のように知っていることなので「なにか得したな」と含み笑いをしてしまった位だ。コウミョウジやコウメイジとフリガナをふってしまったと,同期入社の同僚が後々に言っていた。地名はニュースなどに出てくる関係上、一般常識のテストではよく出題されたのだ。
弘明寺を知っていたから合格できたとは思ってもいなかったが、その事を母に話したところ「何か,きっと他にご利益があるかもよ」と一緒にお参りに行ったのを昨日のことのように覚えている。
母はすっかり弘明寺が気にいってしまい近所の友達を誘ってよく通っていた。しかし、お気に入りは、観音通りの商店街でのんびり歩きながらショッピングをすることだった。商店街の中央付近には、アザラシのタマちゃんで有名になった大岡川が流れており、そこには桜並木があり春にはお花見が出来る。創業100年以上の伝統を誇る和菓子の店「金平堂・コンペイドウ」で「門前ダンゴを買い、さくら橋の上で食べちゃうのよ」と楽しげに語っていたものだ。
動物好きの母は、アーケイド入り口のところにあるブティック「ウッディ」の表に出ているワゴンの下にいつもいるグミちゃんという猫のことも大好きだったようだ。
「あれは観音様のまねき猫かもしれないね」母はグミちゃんに会いに弘明寺まで出かけていたのかもしれまない。グミちゃんはいまも健在なのだろうか。
きょうの[私の弘明寺物語]いかがでしたか。出演、小林節子 脚本、浮田周男でおおくりいたしました。「ヨコハマ・ストーリー」また来週をお楽しみに・・・。