横浜・明日への提言(71)ビー族政治から脱却しよう
代表取締役社長 藤木幸夫
(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長、株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)
かつて小泉構造改革の参謀役だった「某学者元大臣」もよく使った広告代理店の担当者が私にいったことがある。
「国民には3つのタイプがある。Aというカテゴリーはインテリ層、Bというカテゴリーが具体的なことは何も知らないで人気だとか、ムードだとかで行動する層、Cというカテゴリーが頑固で言ったら後へひかない層だという。圧倒的大多数がBのカテゴリーで、それがわれわれのタ―ゲット。だから、自民党の政治はBのカテゴリーを対象に考えてやっている」
言葉は違うがこんな意味だった。本音を汲み取ると自民党は「あえてその程度の政治をこころがけている」ということになってしまう。
たまたま2月の金曜日夜11時半から始まるミッキー安川さんのラジオ番組で以上の談話を披露した。ミッキーさん、いわく。
「横浜に橋本竜太郎総理がきたとき、お竜さんといってわーっと集まってきた。ヨン様になったらヨン様しかない」
それがビー族である。小泉政治は政治をワイドショー化することでビ族を巧みに取り込んだわけだ。時あたかも小泉元総理が麻生総理の「郵政民営化に賛成ではなかった」発言を猛烈にロ撃した直後だった。
「森.小泉、安倍、福田、4人の総理経験者のみなさん、一日も早く政界を引退してください。あなたがたに権力を振り回されては邪魔なんです。過去の人が出てきて政局を混乱させるのはやめてください。手をつけなければならない案件が山のように積まれているとき内部分裂は同国人として恥ずかしい」
「小泉元総理の発言にはがっかりですね。立場としては顧問か相談役かもしれませんが、男として口にしてはいけないことだった」
「麻生おバカ首相や小泉デタラメ元首相はヤッターマンじゃないけど、どっちらけです」
ほかにもいろいろな小泉構造改革批判が紹介された。ミッキーさんの番組のリスナーだからAカテゴリー、Cカテゴリーの方たちかもしれないが、この方たちは完全に「ビー族」から脱却していると思った。
あのとき以来、潮目が変わりつつあるという直感を得て、私の胸に希望の灯が点じた。すでにビー族から脱却した層がいるなら、これから増える可能性がある。
前回紹介した中谷巌氏の懺悔記事と併せて考えると、国民がちょうちん行列を始めたと錯覚させられた小泉フィーバー時代とは急転直下の風潮で、まさに潮目を感じさせるものだ。
ミッキーさんもいっていたが、「こういうときだから、しっかりした政治家が欲しい」のだが、当面、それは無理。
しからば、どうすればよいのか。
昔は「縁台のお殿様」といわれる草の根の論評が確固として存在し、世論の暴走に歯止めをかけていた。私は、ごく親しい仲間と「談論風発の会」を行なおうと考えているが、目的は草の根から論を興すことにある。最早、マスコミによるトリックスター・メッセージ、官製の垂れ流し情報、それに躍らされた世論の暴走を許さないという強い気持ちからである。世論の暴走に歯止めをかけるにはまずわれわれがビー族から脱却し、草の根の論評を燎原の火のごとく燃え上がらせるほかに方法はない。