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2007年11月30日 (金)

横浜・明日への提言(40) 発展の意味をもう一度問い直そう

40

横浜エフエム放送株式会社
代表取締役社長 藤木幸夫

(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長兼社長、 株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)

 発展とは何だろうか。
 戦後しばらく日本人は発展の渦中にいたから考えもしなかった。バブル経済の崩壊で高度成長がパッタリ止まって、いきなり停滞に直面したときも場当たり的な対応に追われて考えられなかった。それからほぼ20年、より停滞が深刻になって、夢よ再びとばかりに、ようやく考えるようになったようだが、答えを欲しがるからか、数字データばかり並べ立てる風潮が染みついてしまった。
 たとえば、今、どこの港が発展しているかと聞くと、発展の基準を「取り扱うコンテナの数」において、「シンガポールだ、釜山だ」と答える人たちがいる。
 違うじゃないかというのが私の考えだ。
 発展とは結果の数字だけではない。階段を上るように、一つ下のステップから上のステップに進むことだ。それには、これからどうあるべきかという将来構想が描けていなければならない。将来どうあるべきかという以上、これまではどうだったのか、現在はどうなっているのか、それがわかっていなければ描けない。
 となると、横浜は港湾都市だから、ミナト・ヨコハマの歴史を語り継ぐ必要がある。しかし、過去を語ると長くなるから現在だけをいうと、全国にあるミナトでいちばん発展しているのはどこだという見方が真っ先に口をつく。発展とはよりよくなることだ。じゃあ、何がよりよくなればよいのか。
 物流のミナトの条件には三つの要素があると私はいいつづけてきた。
一つは取り扱う貨物があること。二つ目は物流のシステムに乗せる施設があること。三つ目が最も肝腎な要素で、それらを操作する技術者がいること。ミナト・ヨコハマは三つ目の要素で世界一すぐれている。なおも発展している。すなわち、ミナト・ヨコハマは働く人で成り立っている。義理人情に厚い人が揃っている。技術が優秀で、教育制度、福利厚生施設も整っている。ミナト・ヨコハマで働いていることに誇りを感じている。こういう付加価値的というか、実質の価値にまで目を向けて評価しないと発展は名ばかりになってしまう。
 ところで、日本人として一番住みたいところに「横浜」をあげる人が多い。海があり、ミナトがあり、街があり、丘があり、川があり、みんな揃っているからだという。日本人がいちばん好きなのは技術とブランドだから、ミナト・ヨコハマというだけでブランド性を感じるらしい。これは誇ってよいことだと思う。
 魅力をさらに高めることを「粒立てる」というらしい。物的にも、精神的にも、付加価値を見出し、持てる魅力を一つ下のステップから上のステップに粒立てていく。
 ミナト・ヨコハマだけでなく横浜全体がそうであって欲しい。