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2006年11月30日 (木)

横浜・明日への提言(17)日本らしさ、ヨコハマらしさ

17

横浜エフエム放送株式会社
代表取締役社長 藤木幸夫

(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長兼社長、 株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)

 グローバル経済のかけ声のもと、日本のアメリカ化が一段と加速した。日米同盟一辺倒の外交、銀行のアメリカ支配、末はアメリカ企業によるゴルフ場買収、あらゆる分野で臆面もなくアメリカ化が進む。経済力の優劣、軍事力の強弱があるから、一応、仕方のないことだとしても、日本とヨコハマの将来像はこの先どうなっていくのか。
 多数決を基本とするデモクラシーが「少数意見の尊重」を謳うのは、量的な欠陥を質的に補うシステムを念頭に置くからだ。今、グローバル化が世界の趨勢であるならば、日本人に求められる反対概念は「日本らしさ」である。趨勢と反対概念の両者が拮抗してこそ、当面の利害と現象に正確な判断を下すことが可能になる。これが今回の提言である。
 経済でいえば、目前の事業がただうまくいけばよいのか、事業の横の連絡をよくして仕事がスムーズに運べばよいのかという観点からすると、今の日本は後者を「護送船団方式」として排撃し、前者の競争原理一辺倒に傾いてしまった。
 ヨコハマもまた360万市民が共有する都市イメージがいまだ確立されないまま「国際都市」が謳われている。次々に外国から入り込んでくる制度や物の考え方を取捨選択するに足る判断基準もあいまいである。
 ところで、歴史的に外来文化の玄関口となったのがミナト・ヨコハマである。ミナト・ヨコハマと簡単にいうが、観光のミナト、貿易経済のミナト、市民のプロムナードとしてのミナト、大きくこの3つに分けられる。このうち経済的に重要性が最も高いのが貿易経済のミナトである。
 私は貿易経済のミナトを受け持つ責任者の一人だが、「ミナト・ヨコハマは護送船団方式でいく」と方針を明確に打ち出してきた。目標はミナト・ヨコハマで働く人のすべてが「中産階級」であり、ごくふつうに暮らせるようになること。勝ち組もいてはならないし、まして負け組もいてはならない。いわゆる共存共栄の精神を根底にした社会で、典型的な日本らしさ、戦後日本の繁栄パターンだった。ただし、私が唱えるのは、伝統に根ざした革新で、従来のように利害にからむ護送船団方式ではなく、個々が江戸時代から続いた義理・人情・恩返しの精神的文化を持ち、率先して独創的に仕事のやり方を変えていく集団である。
 格差社会が問題とされる今日、是正する方策を探る意味で貿易経済におけるミナト・ヨコハマのありように目を向けていただければさいわいである。