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2006年10月13日 (金)

横浜・明日への提言(14) 東京ジャック

14

横浜エフエム放送株式会社
代表取締役社長 藤木幸夫

(著者紹介:現在、藤木企業株式会社 取締役会長兼社長、 株式会社横浜スタジアム取締役会長、横浜港運協会会長、神奈川県銃器薬物水際排除推進協議会会長、神奈川県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、小さな親切運動神奈川県本部代表、がん医療と患者・家族を支援する会会長等の役職にあり、平成元年4月に藍綬褒章受章、平成10年11月に横浜文化賞を受賞。)
 
 前回は東京への人材集中構造が質的に崩壊しつつあることに触れた。東京は首都機能を持つだけに経済的には依然として中央としての活力をまだ保っている。というよりも、構造改革で地方が疲弊した分、東京の突出ぶりが際立ってきた。しかし、政治・文化・人情などの精神的な面ではアメリカナイズが進み、東京そのものがシングルイシューの思考停止状態に陥っている。経済効果、勝ち組・負け組、再チャレンジといった言葉が意味するように、経済オンリーのシングルイシュー化現象のため江戸の文化も人情も影が薄くなってしまった。幽霊の正体見たり枯れ尾花である。
 このときに横浜は何をすべきか。
 世の中は経済だけで成り立つわけではない。政治もあり、文化もスポーツもあって、歴史が営まれる。だから、浜っ子が日本史本流に身を投ずる気概を持つ――東京ジャックが、今回の横浜への提言である。
 病は気からといわれるように、文化的な発想においても、スポーツにおいても、気概が果たす役割は実に大きい。商店街野球から高校・大学・社会人野球に至るまでアマ野球を結集した神奈川県野球協議会を立ち上げたのも、私の東京ジャックの試みの一つである。東京ジャックを思考の糸口にすれば新しい視点も発想も自在に生まれるはずだ。
 しかしながら、首都機能を持たない横浜が経済面で東京ジャックを試みるのは現実的ではない。だから、経済的なことは当面保留にしておいて、政治・文化・スポーツの分野で東京ジャックに着手しよう。その方策はこれからも提言するが、これまで述べたいくつかの提言も「東京ジャック」の気概から発している。
 ところで、東京が失った精神文化を地方が際立たせるのが東京ジャックである。箱ものだけつくって 中身は東京から借りる従来のやり方では「地方文化」は育たない。「東京ジャック」を合い言葉に地方がその気概で政治・文化・スポーツの振興に取り組むことが「地方の時代」の本当の意味での第一歩だろう。
 横浜が全国に先駆けて東京ジャックの旗振り役になる。これもまた大事な「横浜はじめて物語」の切り口の一つである。