ヨコハマ ストーリー 第13回「横浜赤レンガ倉庫物語」
魅力あふれる街、ヨコハマ。
この街が、世界の表舞台に登場したのは、今からおよそ150年前。ペリー艦隊が来航したそのときから、歩みは始まりました。そして今もヨコハマは、ユニークな街であり続けています。そんなヨコハマの由緒あるスポットを舞台に、物語と音楽で紡いでいく『ヨコハマ・ストーリー』。今日は「横浜赤レンガ倉庫物語」
近代港湾発祥の地、横浜新港埠頭は明治の技術の粋を集めて造られた。赤レンガ倉庫は、その上屋施設として1907年に着工され、補強材として鉄を用い、スプリンクラーを完備、荷役用にエレベーターがあるなど、当時の最新技術が導入されていた。
赤レンガ倉庫は、貿易の要として活躍した後、関東大震災をくぐりぬけ、戦後は米軍に接収され、事務所や食堂、倉庫などに利用された。そして倉庫としての役割を終えたあとも、横浜のシンボルとして静かにたたずんできた。
その貴重な歴史的資産を1992年、横浜市が国から取得。2002年4月に新たな文化・商業施設としてオープンした。
日曜日の朝、横浜赤レンガ倉庫を訪れた。友人が、一緒にガラス工芸を習おうと誘ってきたのだ。先月一人娘が結婚して、なんとなく心に穴が開いたような寂しさを感じていた。友人なりの気遣いなのだろう。
赤レンガ倉庫にある「横濱硝子」は、横浜で初めての吹き硝子工房。いろんな作家が創作に取り組んでいるという。「まったくの素人である私でも大丈夫よ」と友人は言っていた。緊張したせいか、約束の時間より早く着いてしまった。
倉庫は、まだひっそりとその入り口を閉ざしている。埠頭を歩くことにした。初夏の陽射しを跳ね返しながら、シーバスが水しぶきをあげている。犬を散歩させている夫婦が、ゆっくりと通り過ぎる。
横濱硝子での体験教室。卓上酸素バーナーを使って硝子棒を溶かし、トンボ玉を作る。飴のように溶けていく硝子玉。赤、青、緑、黄色など、さまざまな原色が、混じり合い、形を変えていく。友人は、慣れた手つきでトンボ玉付きの携帯ストラップを作っていく。私は、光を反射した硝子の美しさに、ただ目を奪われている。
ふと、娘の結婚式を思い出した。キラキラ光る娘の姿が浮かんだ。心が満ちていくような幸福感が私を包む。嫁いだ娘に、携帯ストラップを作って送ってみようと思った。
今日の「横浜赤レンガ倉庫物語」はいかがでしたか?
出演、小林 節子 脚本、北阪昌人でお送りいたしました。「ヨコハマ・ストーリー」また来週をお楽しみに・・・