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2006年5月12日 (金)

ヨコハマ ストーリー  第7回 「中華街物語」

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ヨコハマストーリーは、FMヨコハマで2005.4.5~2006.3.26(毎週日曜日 出演:小林節子)に放送された番組の脚本抄録です。

魅力あふれる街、ヨコハマ。
この街が、世界の表舞台に登場したのは、今からおよそ150年前。ペリー艦隊が来航したそのときから、歩みは始まりました。そして今もヨコハマは、ユニークな街であり続けています。そんなヨコハマの由緒あるスポットを舞台に、物語と音楽で紡いでいく『ヨコハマ・ストーリー』今日は「中華街物語」

 横浜開港後、中国人は雑役、通訳として日本に渡ってきた。年を追うごとにその数が増え、洋食や和食ではなく中華料理を出す店も出てきた。初めは外国商館勤めの中国料理人が独立開業した中国人向けの店だった。当時は現在の南門通り一帯がその拠点。街は拡大していったが、関東大震災で大きな被害を受けた。それを機に現在の場所に移り、長さ約150mほどの通りの両側に店がつくられていった。これが中華街の始まり。
 第二次大戦前は数十軒しかなかった中華料理店だが、戦後いち早く復興をとげた。現在10基の牌楼、すなわち門に守られている。中華街は、周辺の道路に対して45度傾いており、ほぼ東西南北に角がある。特に東西南北の4基の門には、風水の深い意味がこめられている。

 「お母さんに会ってほしい人がいるんだ」と息子に言われた。地方に転勤になった息子は、最近めっきり実家に顔を出さなくなった。それが珍しく「今度の週末、中華街にいこうよ」と言ってきた。
 我が家では、お祝い事があるたびに、必ず中華街で円卓を囲んだ。いつも、私の幼友達がやっている広東料理の店だった。息子は、きっと結婚を考えている人を連れてくるのだ。そう思うと、不思議な高揚感と安堵感、そして一抹の寂しさに包まれた。さっそく友人の店に電話し「とびきり大事なお客様がくるから、豪勢にお願いね」と席を予約した。
 土曜日の夕方。関内駅に現れたその女性は、綺麗な瞳と爽やかな笑顔をたずさえていた。中華街は賑わっていた。息子は得意げに説明している。中華街は東西南北、四ヶ所に牌楼門があって、各方位の守護神に守られている。東は朝陽門で日の出を迎える門、色は青。西は延平門で平安を願う、色は白。南の朱雀門は厄を払い大いなる福を招く。色は赤。そして北は玄武門といい子孫繁栄をもたらす。色は、黒。
 彼女が門に貼られた「福」という字が、どうして逆さまになっているのかと聞いた。息子は困って私を見た。逆さは中国語で「倒れる」と書いて「倒」。倒の発音は、「到る」と同じ。つまり、福を逆さにして「福に到る」と読ませるのだと私が説明する。福に到るとは今日の日にふさわしい響きだと思いながら、二人を友人の店に案内した。

今日の「中華街物語」いかがでしたか。出演、小林 節子 脚本、北阪昌人でお送りいたしました。また来週をお楽しみに・・・

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