ヨコハマ ストーリー 第22回 「私の横浜夏物語」
魅力あふれる街、ヨコハマ。
この街が世界の表舞台に登場したのは今からおよそ150年前。ペリー艦隊が来航した時からその歩みは始まりました。そして今もヨコハマはユニークな街であり続けています。そんなヨコハマの由緒あるスポットを舞台に、物語と音楽で紡いでいく「ヨコハマ・ストーリー」今日は、『私の横浜夏物語』。
若き日の横浜の夏の思い出といえば、大学一年の時、体育の単位取得のため横浜プリンスホテルのプールで水泳の特訓をしたこと。
その当時からの仲間と、久しぶりに横浜で会って今年の夏を締めくくろうということになった。みなとみらい線日本大通り駅で待ち合わせ、街へ繰り出した。
山下公園からみなと大通りと歩き回り、馬車道では「馬の水飲み場」を発見。午後も一時半を過ぎたので、大桟橋通りの「カルテ・デリ」で腹ごしらえを、と行ってみた。昔、よく行ったそのお店はもう無く、仕方なく元町に行くことにした。
元町は週末で賑わっていた。お昼は、昔来たことのある肉料理の店「シィエル・ブルー」した。テキサス風の古い店内は、今も昔の面影を残し、あまり変わっていなかった。男性達はビールも注文。さっきの「馬の水飲み場」ではないが、暑い中ビールにありつけた喜びも手伝って、話は大いに盛り上がった。
食後は元町を歩き回った。子供のころは、まだ元町では買い物は出来なかったが、ハマトラが大ブームになる少し前には、もう働いていたので、キタムラやフクゾウに行くことができるようになっていた。
夕食は、中華街関帝廟通りにある小さな北京料理の店「蓬莱閣」。ビールを注文して、メニューとの格闘が始まった。
その時、一人の中年男性と若者三人のグループが入ってきた。白髪まじりの中年男性は、ビールを素早く注文したかと思うと、メニューも見ずに次々と料理とデザートまで一気に注文した。あっという間の出来事だった。
仲間の一人が、その男性に「よく来るんですか、この店には」と語りかけた。
「ああ、年に一回くらいかな」
「昔からですか」
「25年くらいかな、30年になるかな」
「どちらから」
「東京に決まってるよ」
短いフレーズで余計な事は言わない。江戸っ子だな、と思った。そうこうしていたら、その男性が、自分たちは注文しないのに「餃子、頼まないの?」と聞いてきた。私たちは水餃子を注文した。
女主人と、その息子だと思われる店員が、初めて微笑んだ。最後にその男性が「シュガーシャックに、よかったら一緒にどう?」と誘ってくれた。シュガー・シャックはソウルバーだ。でも私たち「スターダストに行くの」と答えたら、「いいね」と一言いった。
JR東神奈川駅まで電車でそして、タクシーでみずほ埠頭方向へ。米軍施設のある橋の手前で降りる。
スターダストに入ると、カウンターにどっしりと座っている猫に迎えられて中に入った。飲み物を注文して飲み始めると、猫はもうカウンターの上で丸くなって寝始めていました。キャッシュ・アンド・デリバリー方式、古いジュークボックスから流れる音楽も懐かしい。変わったのは外国人、アメリカ人がいなくなったことくらいだ。
今日の、『私の横浜夏物語』いかがでしたか。出演、小林節子 脚本、浮田周男でお送りいたしました。「ヨコハマ・ストーリー」また来週をお楽しみに・・・