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ルポルタージュ Feed

2016年9月 2日 (金)

駆け込み寺の男 玄秀盛

表紙 購入
佐々涼子 著
ハヤカワノンフィクション文庫
680円(税別)
ISBN978-4-15-050474-8

親に虐待され続けた子ども時代、「恐怖で人を操る」ことでサバイバルし、やがて大金を稼ぐようになるものの、あることがきっかけで人助けに開眼、歌舞伎町で24時間無料であらゆる人の相談に乗り続けている玄秀盛さんを、佐々さんという書き手が書いたことに意味のある1冊。壮絶な過去を乗り越えて、という「分かりやすい、いい話」の中にはめ込むことのできない海千山千の人物の「生き延びる術」に圧倒されます。

2016年7月15日 (金)

謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉

表紙 購入
高野秀行 著
新潮社
1,800円(税別)
ISBN978-4-10-340071-4

タイ、ミャンマー、ネパール、インド、中国、ブータン、ラオス…納豆は「日本だけの特殊な食べ物」じゃなかった!各地に足を運び現地の納豆を食し、青い葉っぱで作る「アジア納豆」を日本でも作ることができるかどうか実験し、日本の「雪納豆」の謎を岩手県で探る。知りたいことはとことんまで知りたい、とクレイジーなまでに納豆にのめり込んだ3年間の記録。身近な食べ物の話題でここまで楽しませてくれるなんて、と思わずにはいられない大満足のルポルタージュです。

2015年6月 8日 (月)

男性漂流 男たちは何におびえているか

表紙 購入
奥田祥子 著
講談社+α新書
880円(税別)
ISBN978-4-06-272887-4

市場価値が目減りしてゆく中での婚活、イクメンという言葉のカッコ良さに届かない子育て、突然降りかかってきたシングル介護、思いがけない更年期、そして仕事。ミドルエイジの男性たちが抱える悩みと葛藤を、ジャーナリストの奥田さんが数年から10年に渡るインタビューを重ねて聞き出した労作。この人になら話せる、という信頼関係を丁寧に築いてきたからこその仕事だということが分かります。

2015年1月19日 (月)

かぜの科学 もっとも身近な病の生態

表紙 購入
ジェニファー・アッカーマン 著
梶原多惠子 訳
ハヤカワ・ノンフィクション文庫
760円(税別)
ISBN978-4-15-050421-2

のどの痛みや鼻水を一気に治す薬も、ワクチンもいまだに作られていないのはどうして? そもそもなんでひくんだろう? ビタミンCは効くの? 患者になる実験や手洗いオリンピックなるものにも参加したサイエンスライターの著者が、様々な研究や専門家の見解を紹介しながら「今できる最善のこと」を教えてくれる1冊。かつてイギリスにあったウイルス研究施設のエピソードや、アメリカのある有名な風邪薬をめぐる顛末なども興味深く、巻末にはアメリカの映画やドラマによく出てくるチキンスープのレシピも載っています。

2014年12月 8日 (月)

エンジェルフライト 国際霊柩送還士

表紙 購入
佐々涼子 著
集英社文庫
560円(税別)
ISBN978-4-08-745252-5

海外で亡くなった邦人を日本に搬送し、日本で亡くなった外国人を故国に帰す国際霊柩送還士という専門職。細心の注意と敬意を払って遺体を扱い、傷などを丁寧に修復して遺族のもとに送り届ける。死者がちゃんと家族に会えるように、家族がきちんと別れを言えるように─日本で最初の専門会社として設立されたエアハース・インターナショナルのスタッフ、そして遺族の思いを真摯に辿ったルポルタージュ。生々しい描写が苦手な方にはお勧めしませんが、なんて過酷でなんと尊い仕事かと、胸詰まる箇所がたくさんあります。

2014年9月 8日 (月)

千年企業の大逆転

表紙 購入
野村進 著
文藝春秋
926円(税別)
ISBN978-4-16-390116-9

百年、五百年、千年以上!世界でも突出して「長く続いている会社」が多い国ニッポン。アイディアや忍耐で崖っぷちの局面を乗り越えてきた、ロープ、ゼラチン、ペン先、プラスチックキャップ、そしてマンション改修を手掛ける5社を、ノンフィクションの名手野村さんが取材した1冊。V字回復のストーリーとそこへ連なる企業の歴史だけでなく、ひとつの製品の中にどれだけの工夫が詰まっているかというトピックにもワクワクさせられます。

2014年5月12日 (月)

謝るなら、いつでもおいで

表紙 購入
川名壮志 著
集英社
1,500円(税別)
ISBN978-4-08-781550-4

親しくしていた上司、御手洗さんの11歳の娘怜美(さとみ)ちゃんが同級生に殺害された─2004年に佐世保の小学校で起きた事件を、当時佐世保支局に勤務していた毎日新聞記者が振り返り再検証した湿度のあるルポルタージュ。いつまで経ってもたどり着く場所を見つけられない気持ちに、なんとかして折り合いをつけようとしてきた御手洗さん家族の心の軌跡、そして著者だからこそ引き出すことのできた加害少女の父親の言葉が心をゆさぶります。

2014年1月29日 (水)

殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

表紙 購入
清水潔 著
新潮社
1,680円(税込み)
ISBN978-4-10-440502-2

1990年に4歳の女の子が誘拐され殺害された足利事件は、79年から96年の間に北関東で起きた5件の連続幼女誘拐事件の1つなのではないかと仮説を立てた著者。犯人とされた菅家利和さんの再審請求から無罪確定までの道のりに伴走し、一方で5件の事件の関係者に会い、緻密な取材を続け、なんと独自に真犯人を突き止めその男に接触する。この本はその犯人に向けた、本気の宣戦布告の書です。

2013年12月19日 (木)

ホームレス歌人のいた冬

表紙 購入
三山喬(みやま・たかし) 著
文春文庫
641円(税込み)
ISBN978-4-16-783896-6

2008年暮れ、朝日新聞の短歌投稿欄にあらわれた「ホームレス」公田耕一。横浜の寿町にいるらしき彼に対し読者は大きな反響を寄せ、素性を知らせて欲しい、という記者からの異例の呼びかけも紙面に載る。しかし彼は突然投稿をやめ、9か月で姿を消してしまう…公田耕一は本当に横浜にいるのか、そもそも本当にホームレスなのか。彼の短歌に惹かれた人々や、寿町の居住者たちの声がドヤ街に入って彼を探す著者の追跡の模様に重なる、真摯なドキュメンタリーです。

2013年9月11日 (水)

生き心地の良い町

表紙 購入
岡檀(おか・まゆみ) 著
講談社
1,470円(税込み)
ISBN978-4-06-217997-3

赤い羽根共同募金が集まらない。同じ町長が長年居座らない。若者が入る互助組織に上下関係がない。人なつこく噂好きだが冷めるのも早い…島しょ部を除き、日本で一番自殺の少ない町、徳島県旧海部町。ここには「自殺予防因子」があるのではないかという仮説を胸に現地に入った岡さんの、4年に渡るフィールドワークの記録です。徹底して牽強付会でない姿勢がすばらしく、資料・統計を慎重に読み解いていく過程を明らかにしている箇所も読みごたえがあります。