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日本の小説 Feed

2017年3月17日 (金)

不機嫌な姫とブルックナー団

表紙 購入
高原英理 著
講談社
1,450円(税別)
ISBN978-4-06-220187-2

「非モテ」で変人だった(と言われている)19世紀のオーストリアの作曲家、ブルックナー。彼と彼の曲をこよなく愛するブルオタ男子3人組「ブルックナー団」に出会った図書館の非正規職員ゆたきは、彼らの「公式サイト」に書かれているブルックナーの評伝の面白さにひきこまれてゆく。イタい人たちの魅力全開、くすくす笑いながら読んでいくうちに思いがけず励まされていることに気付きます。もちろんブルックナーも聴いてみたくなる!

2017年3月10日 (金)

がっかり行進曲

表紙 購入
中島たい子 著
ちくまプリマー新書
740円(税別)
ISBN978-4-480-68975-7

ニックネームがない。特技がない。前日にぜんそくの発作が起きるから学校行事にいつも参加できない。がっかりを連ねる毎日を過ごしている小学生の実花。でも「がっかりした分だけ、堂々としていればいい」と言ってくれる人もいる。「そのままにしときなさい」(let it be)と歌う歌に励まされたりもする。中学、そして高校。当事者として傍観者として自分の日々を語る実花はどんな大人になったのか。失望することは、全然悪くないんだよと教えてくれる作品です。

2017年2月17日 (金)

不時着する流星たち

表紙 購入
小川洋子 著
角川書店
1,500円(税別)
ISBN978-4-04-105065-1

がらくたのように見えるものが入った裁縫箱を手放さなかった姉。散歩同盟会長に生真面目な手紙を書く老紳士。文鳥を子どもとしてかわいがることにした夫婦。グレン・グールド、ローヴェルド・バルザーなど有名無名の人物や「放置手紙調査法」など、物語の着想の種となったものが1編ごとに明かされる短編集。清潔感があり、生真面目で慎み深くてグロテスク。「死」に縁どられた物語たちの不穏さにうっとりしてしまいます。

2017年2月 3日 (金)

私をくいとめて

表紙 購入
綿矢りさ 著
朝日新聞出版
1,400円(税別)
ISBN978-4-02-251445-5

32歳の会社員、黒田みつ子は脳内にもうひとりの自分「A」を住まわせている。召喚すればいつでも話し相手になってくれる彼は、唯一無二の心強い存在だった。微妙な距離の同年代の男性、多田くんとの恋をAに勧められ、1歩踏み出してみようかと思うみつ子だったが…のほほんとしているようで黒いところもあるみつ子の、ハレもケもあるおひとりさまの日常。爽やかなのにそこはかとなく不気味な自問自答の小説です。

2017年1月13日 (金)

おばちゃんたちのいるところ

表紙 購入
松田青子 著
中央公論新社
1,400円(税別)
ISBN978-4-12-004918-7

(ムダ)毛の力を説くおばちゃん。漫才のような掛け合いで灯籠を売る2人のセールスレディ。時間も空間も伸び縮みしているような不思議な会社でお香を作っている若者。改装前の歴史あるホテルにやってきたスカウトマン…彼らのユニークな「職務」を、落語や歌舞伎の演目、怪談や言い伝えなど、日本の古い物語の数々をモチーフにして書いた17の物語。読んでいるうちに気持ちが晴れ晴れとしてくる連作短編集です。

2017年1月 6日 (金)

にぎやかな未来

表紙 購入
筒井康隆 著
角川文庫
600円(税別)
ISBN978-4-04-104199-4

身体のすべてのパーツが取り替え可能になる、CMがじゃんじゃん流れるラジオを聞かないと罰せられる、催眠教育で天才児が量産され大人が職場を追われる…そんなたくさんの「未来」を1960年代から書いてきた筒井さん。「小説はそもそも不謹慎なもの」という言葉どおり、バラエティ豊かな毒が味わえる掌編集。筒井康隆論とも言える星新一さんの解説は長年のファンも必読です。

2016年11月25日 (金)

あひる

表紙 購入
今村夏子 著
書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)
1,300円(税別)
ISBN978-4-86385-241-9

あひるを飼っている家族と、あひるを見に来る近所の子どもたちの交流の物語…のように見えて、実はもうひとつ、まったく別のストーリーが隠されているのではないかと思わせる、芥川賞候補になった表題作ほか2編を収めた今村さん待望の新刊。怖さ、という言葉ではつかみきれない、さみしくあたたかい不気味さとでも言いたいものが漂う作風、ぜひ体感してください。

2016年11月 4日 (金)

明るい夜に出かけて

表紙 購入
佐藤多佳子 著
新潮社
1,400円(税別)
ISBN978-4-10-419004-1

金沢八景、国道16号近くのコンビニで深夜に働く20歳男子の、今どきの語彙で語られる約1年。日々をしのいでいくためになくてはならないラジオ番組の「職人」仲間に思いがけなくリアルで出会い、それをきっかけに今までに経験したことのない形のかかわりを持つようになる。すべてを知っていなくても信じられる人がいること、心の蓋を開けられる場所を持っていることの、ささやかだけれど確実な幸福。「ラジオが人間に必要な理由」が詰まった物語です。

2016年10月 7日 (金)

蜜蜂と遠雷

表紙 購入
恩田陸 著
幻冬舎
1,800円(税別)
ISBN978-4-344-03003-9

天才たちは自らの手で音楽を生み出しながら何を考えているのか──ピアノを持たないコスモポリタン少年、ジュリアードの隠し玉、表舞台から消えた元スター少女、妻子持ちの最年長参加者。日本で開催される国際ピアノコンクールを舞台に、彼らと聴衆が「体験する風景」を言葉を尽くして描き出した傑作です。文章で音楽を味わう快感と歓びをぜひ。

2016年8月19日 (金)

エスカルゴ兄弟

表紙 購入
津原泰水(つはら・やすみ)著
角川書店
1,650円(税別)
ISBN978-4-04-103252-7

出版社を突然リストラされ、立ち飲み屋の料理人という役目をあてがわれた27歳・編集者の尚登。店の長男で写真家の秋彦はフレンチへのリニューアルを決めており、三重県の養殖場から最高級エスカルゴを仕入れる手筈を整えていた。尚登は、魅力的なエスカルゴ料理を出すことができるのか?…癖のある人物たち、うどんをめぐる三角関係に笑わされ、繰り出されるおいしそうなメニューの数々に興奮せずにはいられない!手練れの作家のもてなしが存分に受けられる一作です。