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サスペンス Feed

2017年3月 3日 (金)

ゼロ・アワー

表紙 購入
中山可穂 著
朝日新聞出版
1,800円(税別)
ISBN978-4-02-251454-7

凄腕の殺し屋ハムレットは2つの失敗を犯す。ある家族を皆殺しにするというミッションを完遂できなかったこと。その家の飼い猫を連れ帰ってきてしまったこと。ひとり生き残った少女・広海は、ブエノスアイレスに住む祖父に引き取られ、祖父とともに復讐を誓う。タンゴとシェイクスピアが全編にあふれる、バイオレンスたっぷりの残酷で艶やかなノワール(暗黒小説)。凄まじい孤独と虚無を抱える男女の運命の終着点をぜひ見届けてください。

2016年12月23日 (金)

その雪と血を

表紙 購入
ジョー・ネスボ 著
鈴木恵 訳
早川書房
1,400円(税別)
ISBN978-4-15-001912-9

クリスマス間近のオスロ。殺し屋オーラヴがドラッグ密売人ホフマンから命じられたのは、ホフマンの妻コリアを始末する仕事だった。ところがオーラヴはコリアの姿を見た瞬間、恋に落ちてしまう。はぐれ者の冷え冷えとした孤独と不器用な優しさ、彼がこしらえる「物語」のぬくもりが胸に沁みとおる北欧発のノワール(暗黒小説)。オーラヴ(王)という名前の意味に色を重ねて呼応させた冒頭とラストの残酷な美しさが、いつまでも脳裏に残ります。

2016年9月 9日 (金)

罪の声

表紙 購入
塩田武士 著
講談社
1,650円(税別)
ISBN978-4-06-219983-4

京都で仕立屋を営む30代の曽根俊也は、父の遺品の中のカセットテープに幼い頃の自分の声が録音されていたことを知る。それはあの未解決事件の脅迫に使われたものだった。俊也は父の友人と共に真相を探り始める。一方、新聞社の中堅記者・阿久津も、特集記事を書くため事件を再取材していた…1984年に起きたグリコ・森永事件を題材にした小説。提示される仮説の説得力もさることながら、十字架を背負わされた子どもたちへの想い、背負わせた犯人への怒りが伝わって来る力作です。

2014年10月13日 (月)

妻の沈黙

表紙 購入
A・S・A・ハリスン 著
山本やよい 訳
ハヤカワ文庫
920円(税別)
ISBN978-4-15-180501-1

45歳になっても美しさを失わないセラピストのジョディ。家の改修事業を手掛ける46歳の夫トッドとの生活は、表面的な静けさを保ちながら20年続いていたが、トッドの浮気相手の女子大生が妊娠したことで緊張が漂い始める。何も知らないという態度を貫くジョディと、愛人の言いなりになってゆくトッド。苛々とじりじりの増幅が読者をどっぷりのめりこませる、後味ダークな心理サスペンスです。

2014年9月 1日 (月)

ゴーストマン 時限紙幣

表紙 購入
ロジャー・ホッブズ 著
田口俊樹 訳
文藝春秋
1,800円(税別)
ISBN978-4-16-390107-7

決まった名前・外見を持たない武装強盗歴20年の「私」。5年前の仕事の失敗で借りを作った麻薬ディーラーに依頼され、時限爆弾が仕掛けられた新札とともに姿を消した男の行方を追うが…恋愛要素一切なし、徹頭徹尾痺れるほどクールでスパイシーな語り口が何者でもない男のキャラクターを際立たせて秀逸なサスペンス。悪役らしい悪役、1回使っただけで捨てられる携帯、次々に廃車になる高級車。小説ならではの景気の良さが最高に快感です。

2013年7月30日 (火)

ジェイコブを守るため

表紙 購入
ウィリアム・ランデイ 著
東野さやか 訳
早川書房
1,995円(税込み)
ISBN978-4-15-001873-3

14歳の少年を殺害した容疑で息子ジェイコブが逮捕される。地区検事補のアンディは息子の潔白を信じ嫌疑を晴らそうと奮闘するが、家族は次第に地域から孤立してゆく。アンディの苦悩をさらに深めたのは、妻ローリーにも話したことのない、自分の暗い血筋だった…終始緊張感が途切れない、重いテーマを突き付けてくる作品。〈わが子をあんなふうにとか、こんなふうにとか思いどおりにできるなんて、うぬぼれが過ぎるんじゃないか〉最初のほうに出てくるローリーのこの台詞が、ラスト、頭の中で反響します。

2012年10月23日 (火)

6人の容疑者

表紙 購入
ヴィカース・スワループ 著
子安亜弥 訳
武田ランダムハウスジャパン
上・945円(税込み)
ISBN978-4-270-10420-0
下・998円(税込み)
ISBN978-4-270-10421-7

悪名高き男ヴィッキーがパーティーの最中に射殺された。銃を所持していたのは彼の父、人気女優、部族民、携帯泥棒の青年、元官僚、そしてアメリカ人旅行者の6人。誰の犯行なのか。犯人はひとりなのか…?彼らが「パーティーに足を運ぶまで」の物語をそれぞれ違う語り口で仕立てた群像劇。映画『スラムドッグ$ミリオネア』の原作者による、清濁併せ呑むインドという国の正と負のエネルギーに満ちたジェットコースターサスペンスです。

2012年9月27日 (木)

シャドー81

表紙 購入
ルシアン・ネイハム 著
中野圭二 訳
ハヤカワ文庫
1,092円(税込み)
ISIBN978-4-15-041180-0

1970年代のベトナム。米空軍のパイロット、グラントが搭乗した軍の秘密兵器的戦闘爆撃機が攻撃中に消息を絶つ。一方、香港の造船所にミステリー作家を名乗る男があらわれ細かい注文を付けて船をオーダー、彼はマネキン工場でこれまた細かい注文を付けて、性別・人種の違うマネキンをオーダーする…本の裏表紙のあらすじを読むと、どうもハイジャックものらしい。なのにこの序盤の展開は?と思いながらも場面場面に引き込まれ、そういうことだったのか! と分かってからはさらに読む速度があがってゆく名作サスペンスです。

2011年8月31日 (水)

犯罪

表紙 購入
フェルディナント・フォン・シーラッハ 著 酒寄進一 訳
東京創元社
1,890円(税込み)
ISBN978-4-488-01336-3

ドイツの弁護士が実際の事件に着想を得て書いた物語。218ページの中に11の短篇を収めた、手に取りやすく読みやすい1冊です。父親の呪縛から逃れようとした姉弟、横暴な妻に何十年も耐え続けた医師、恋人の借金を返そうと自分を犠牲にした女性…弁護士の「私」の、見守るのでも傍観するのでもない態度が静かで複雑な余韻をもたらします。猟奇的な事件もありますが、最後に収められている「エチオピアの男」の読後感は温かく、救われたような気持ちで本を閉じることができます。

2011年8月 3日 (水)

炎の眠り

表紙 購入
ジョナサン・キャロル 著 浅羽莢子 訳
創元推理文庫
1,092円
ISBN978-4-488-54703-5

離婚してほどなく、友人の紹介でパーフェクトな女性マリスに出会った脚本家のウォーカー。彼女との仲が進展する中で彼は奇妙な出来事に遭遇するようになる。知らない人に、知らない名で呼びかけられる。手品もどきのことがなぜかできる。自分の顔が彫られた他人の墓がある─恋愛ものかと思いきや、次第に非現実世界が入り込んできて、なんとその奥からあらわれてくるのはグリム童話!読み始めたときには思いもつかなかった場所に連れて行かれる小説です。