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2017年2月24日 (金)

プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

表紙 購入
アン・ウォームズリー 著
向井和美 訳
紀伊國屋書店
1,900円(税別)
ISBN978-4-314-01142-6

受刑者たちと課題本について意見を交わす、塀の中の読書会。行動的で慈悲深い友人のキャロルに誘われておずおずと参加したジャーナリストの著者は、次第に彼らとの友情をはぐくんでいく。「自分の内面の奥深くに降りていかざるを得ない、読書という行為」は参加者に何をもたらしたのか。本が人を、その人生を変える可能性があるということを示したすばらしい記録です。

コメント

長くなります。お許しください。

僕は2年ほど前まではほとんど読書をしませんでしたが、booksに誘われて読み始めたらこんなに面白いものだったのかと、今では「趣味は読書」と言うようになりました。ここまではこの本の囚人達と似ているかも。でも、僕には読書会がない。
刑務所の読書会で囚人達の語りが活き活きと描かれる場面が、とても羨ましいです。
この本も、本当に良い本ですね。本屋さんでみつけて「厚いな」と尻込みしかけましたが、とても読み易いんですよね。すいすい読める。このスムーズさはなんなんでしょう。アンの、終始穏やかで控えめな語り口のおかげ(プラス翻訳のおかげ)でしょうか?

で、アンについて。
僕は最初、アンはとっつきづらかったです。刑務所の読書会の最初の方では、「この本を通して囚人達に何かを教えたい、何かを学んでほしい」という教師のような雰囲気を強く感じました。ちょっと上から目線的な。或いは母性?男である僕には、少し気になりました。
でもそれが、回を重ねるごとに、囚人達の意見が純粋に楽しみで、そこから何かを得られるのだという喜びに変わってきたように感じました。
アンは、娘の事や襲われた一件はあるけれど、概ね順調な人生なんだと思います。それが、囚人達のような大きな転機を経験した者(しかも大人の男)の考えに触れて、新しい視点を得たのだと思いました。

この本では、刑務所と、その外の草花や動物や湖と、両者が交互に出てきますよね。この対比、僕には、刑務所や囚人達の緊張感を想像する助けになりました。音楽で言えば間奏、スポーツで言えばタイムアウトのようです。

本の中で特に好きな所は、第18章です。囚人達の感想を女性読書会の面々が味わう場面は、感動しました。

本を読むことの意味。
本の中で囚人達から、何回か語られています。僕は、いちいち頷いていました。あーそれそれ、よくぞ代弁してくださいました!という感じです。なかでも122ページのベン、「どれか一冊が好きっていうのではなくて、これまで読んだ本全部がいまの自分を作ってくれたし、人生の見かたも教えてくれたんだ」。いいですねぇ。特に「全部」という二文字がふるってますよね。本当に同感です。
以下、この本に限らずトータルの感想ですが。
僕は、この2年(たかが2年ではありますが)で読んだいろいろな本に出て来るいろいろな登場人物を通して、現実の人間に対する免疫ができました。いちいち腹を立てることが減ったし、逆に過剰に喜ばなくもなって、良い意味でニュートラルでいられることが増えました。

囚人達が、読書会の終わりにアンに礼を言って握手する場面が多くあります。これに倣って、僕も北村サンにお礼を言わなきゃいけないです。本を読むきっかけを与えてもらったし、読み始めた後もすごく面白い本を毎週たくさん教えてもらっています。そのうえ、一方的ではありますがこのブログで感想まで書かせてもらってるし。
本当に感謝しています。ありがとうございます!
booksAtoZ、もうじき千秋楽ですね。そこから後のご活躍をお祈りし、応援し、またお声が聴ける日を首長竜になって(パイレーツでありましたよね。笑)待っています。
(と、まとめのように言いつつ、もう一冊、書き込むつもりでいます)

この本を紹介して下さって、本当にありがとうございます。
ゆっくり時間をかけて読了しました。

読書とは、本の世界に飛び込んで自分の中に取り込む、自己完結なものだとずっと思っていました。
だから、読書会というものが、以前からなんとなく知っていても、なぜそんなことをするのか理解できませんでした。
しかし、本を読み、どう感じたかを他者と語り合う、これが自分が読んで感じた以上に色々なことを気づかせてくれ、より深く本の世界を知ることができるんだとこの本は気づかせてくれました。
今までの読書はかなりもったいないところで終わっていたんだな、と。

この本ではアンが囚人たちとの読書会を通して、過去の経験や〝一般常識”から構えていた心が、彼らを一人の人間として見て寄り添う心に変化していったのが、読者としてうれしかったです。
(その後についても述べられていたのも)
だからこそ、囚人たちもアンに歩み寄って、心を開いていったのではないでしょうか。

この活動に心血を注いでいるキャロル、自分を信じて疑わないその姿勢、少しでも近づきたいです。実際のHPで紹介されているご本人を拝見しましたが、とても聡明で情熱にあふれているのが感じられる方でした。

これは翻訳されたものですが、丁寧な説明も随所に入れられて、大変読みやすかったです。翻訳者の力もこの本の素晴らしさを光らせてくれたのではないではないでしょうか。

今度は読書会で取り上げられた本を読んで、彼らの読書会に再度参加してみたいです。

booksAtoZ終わってしまいましたね。しばらくはご紹介していただいた本とプリズン・ブック・クラブで登場した本を読みながら、またどこかで、北村さんの本の紹介を耳で楽しめる日が来ることを楽しみにして待つとします。

本当にありがとうございました。

ハジメさん

〈この本では、刑務所と、その外の草花や動物や湖と、両者が交互に出てきますよね〉

こういうところをきちんと掬い取れるハジメさんの目、すばらしいなあ。わたしも、花や植物に言及されている箇所は、この本の風通しをすごく良くしているなと感じました。「ただの彩」ではないんですよね。アンさんの人生観、たくさんの花の名前を知っていることの豊かさ、知ることができる環境(家族・場所両方の意味)で育ってきたということ、いろんなことが読み取れる気がします。

わたしは、いい本(と敢えて言います)は、人に誇りを与えてくれるものだと思っています。喜びや驚き、不快感や疑問、そこから生まれる思考、達成感……そういったものすべてが混ざって「その人」をかたちづくる。わたしはまったくもってダメな部分がたくさんある人間ですが、この「books A to Z」を続けてこられたことで、ほんのすこし自分に誇りを持つことができました。それは、読んできた本と、こうやって感想を下さったり聴いているよと言って下さる方々がくださったものです。

こちらこそほんとうにありがとうございました。

まゆみんごさん

わたしもこの本を「books…」で紹介出来て良かったです。そして、こうやってこの本に出会ってくださって、いい本だと思っていただけたことがとても嬉しいです。

わたしはアンさんのツイッターを拝見したのですが、知的で穏やかでちょっと岸恵子さんに似た美しい方でした。

〈読書とは、本の世界に飛び込んで自分の中に取り込む、自己完結なものだとずっと思っていました〉

わたしもずっとひとりで本を読んできたのですが──読書は個人的な営みなので基本的に「ひとりの行為」なわけですが──10年以上前にある読書会(のようなもの)で出会った人たちと友人になり、今もよく会って、舞台や美術展を見に行ったり本の話をしたりしています。
彼ら彼女らと「あれ読んだ?」という話をするときは本当に楽しいです。それこそこの本で、ガストンが「この読書会がすごく面白いのは、自分では気づきもしなかった点をほかのやつらが掘り起こしてくれるからさ」と言っていますが、まさにそう。本の話をしているときはとても正直になれる気がします。ならざるを得ない、のかもしれません。

初夏の頃に、また新たな方法で、本の紹介を音声で届ける企画を考えています。
そのときはどうぞよろしくお願いいたします!

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