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2015年1月19日 (月)

逃げてゆく水平線

表紙 購入
ロベルト・ピウミーニ 著
長野徹 訳
東宣出版
1,900円(税別)
ISBN978-4-88588-084-1

農場に据え付けられた信号機が、スペインの牡牛と対戦するうちにスカウトが来るほどの立派な闘牛士になる。生き物に永遠の命を与えるトウモロコシに埋まった老人が、死神の訪問を受ける。殴り合いに飽きたボクシング用ゴングが、非番のときに密かにクラシックを学ぶ。教訓を排し風刺とひねりを加えた、25の手の込んだイタリアのほら話。とにかく全部おもしろい!

コメント

ご紹介にある「ほら話」っていう言葉にそそられましたねぇ。前から気になってたけど見つからなかった本でしたが、そういう時は桜木町の北村書店、やはりありました。
読むと、ゲラゲラ笑うのではなく、ニヤッと笑う感じですね。25編どれも、お話しの展開は児童書と言うか子供向けだと思うのですが、文章が大人っぽいのかな?『トルボレーズ包囲戦』の出だしの「この物語は大昔の亀の甲羅に刻まれているのを私が見つけたものだ」なんて、おぉ渋い、と唸りました。
北村サンが紹介してくださっている『ゴングの音色』と『闘牛士になった信号機』、ほんとに面白いですね。まず、タイトルにリズム感がありますよね。声に出すと分かるって感じ。翻訳なのに、すごいです。お話しも、ゴングとか信号機とかの「物」に意思(意志)があるっていうのがまずもって可笑しいし、そのことに人間などの生き物が違和感なく共存しているのがまた心地良いです。ふと気が付くと、信号機に意思があることを可笑しがって読んでるけど、牡牛や犬や豚も意思を持っていて牧場主と一緒になって興奮したり笑ったりしていることは当然のように感じているんですよね。僕の中の基準がなくなってるんです。で、なくされたのが嬉しいという感じなんですね。
僕の悪い傾向で、本を読むと何かしら教訓を得ようとして深読みし過ぎるのですが、この本はシンプルに笑えました。
とは言え「これは示唆してるなぁ」と強く感じたのもあって、『悲しい男のマフラー』の中盤、これは良かったです。
とにかく、すごく読みやすくて楽しくて、テーマパークにいるような本でした。通勤電車でニヤニヤしてました。つり革が気持ち悪がってたかもしれないですね。
楽しい時間を過ごせる本を教えてくださりありがとうございます!

これ、ほんとに面白いですよね。わたしも、バスの暗い照明の下でも読まずにはいられなかったくらい(そしてくすっと笑わずにはいられなかったくらい)面白かったです。おっしゃるとおり〈すごく読みやすくて楽しくて、テーマパークにいるような本〉ですよね。頭の中で、アコーディオンがワルツのリズムで何かを弾いているBGMが流れているような気分でした。
チベットの僧侶の沈黙、マレーシアの真珠採りの沈黙のほころびが美しい「沈黙大会」や、なにかを深く追求し愛するというのはこういうことだと教えてくれるような「壷作りのボルト」もとても好きでした。

〈本を読むと何かしら教訓を得ようとして深読みし過ぎる〉
自分なりの解釈をしようと思っている、ということではないのかな。得るものを探してしまうということはありますよね。でも、この本いいなと思いながら読んでいると、目を文章に浸しているだけで十分だという気持ちに、無意識のうちになっているんじゃないかと思います。
本の帯の裏に「ロダーリ、カルヴィーノを生んだイタリアから届いた25篇のファンタージア!」と書いてありますが、ジャンニ・ロダーリ、イタロ・カルヴィーノも最高です。ロダーリは先日『羊飼いの指輪』をご紹介しましたが、この2人も覚えておいて損はないですよ。機会があったらぜひ探してみてくださいね!

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