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2004年5月20日 (木)

リプレイ

表紙 購入
ケン・グリムウッド 著
新潮文庫
¥780
ISBN4-10-232501-8

43歳で死んだはずの自分が18歳に!?NYのラジオ・ディレクターだったジェフは、知識と記憶を持ったまま自分の人生が25年分リプレイ(再生)されていることを知る。株や競馬で大もうけ、裕福な生活を送るもののまた43歳で死亡、そして再びリプレイ人生が……。やり直しができたなら間違わずに生きられる?理想の人生が送れる?誰もが一度は思い描く夢をスリリングに、濃厚に、やるせなく描いた世界幻想文学大賞受賞作です。映画通にはより楽しめそう。

コメント

北村さん、こんにちは。まず本の感想に入る前にですが、来たる12月に開催される大和での北村さんの講座に参加申し込みさせて頂きました(両日行きたかったのですが、日程の都合により17日のみです)。仕事の都合等でなかなか今までの講座、講演には行けませんでしたが、ようやく巡ってきた北村さんのお話を直接伺える千載一遇の大チャンス。今からとても楽しみにしております。

そしてその講座のテーマが「北村浩子さんと読む世界文学」とのこと・・・。これまで私は食わず嫌いで翻訳モノを殆ど読まずにきてしまいましたので、今後の読書の幅を広げてゆくための良いきっかけになれたらいいなと思っています。この「リプレイ」は今まで北村さんが番組等でも何度かご紹介されてきたかと思いますが(光邦さんの「ちょうどいいラジオ」ゲスト出演でもお話して下さいましたね)、今回の受講前に北村さんから与えられた「宿題の一冊」だと勝手に自分自身で解釈し(笑)、初めて手に取ってみた次第です。
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それにしても「リプレイ」、中身のギッシリ詰まった長編でしたが本当に面白かったです。「もしも人生をやり直すことが出来たら」「二度目の人生があったなら」と誰もが一度は思うであろう哲学的テーマに真っ正面から挑んだエンタテイメント作品ですね。

43歳までとはいえ、その間に起こる出来事が既に分かっているリプレイ後の人生。ある程度思うようにやり直せる。それなりの生活を送るためにうまくやることも出来る。しかし自分の人生がいつ終わるのかも分かってしまっている。愛する人間たちとの別れが必ずあることも分かっている。このパラドックスと向き合わざるを得ない主人公の苦悩と、その度にその時の人生最後の瞬間までも意義のあるものにしてゆこうと試みる主人公の想いには大いにシンパシーを感じました。そして最後の結末は納得のものでした(短いエピローグ箇所は、??でしたが)。

アメリカの60年代から80年代にかけての史実とうまくリンクさせているのも面白いです。ワールドリーグや競馬の大番狂わせ、或いはケネディ暗殺の裏側、アポロ計画の飛行士との接触等に主人公を絡ませたり。フォレストガンプのようですね。

これは私の勘違いだったのですが、P302で「ウォーターゲートを覚えていますか?ダイアナ妃を?」とある箇所、アレ?なぜ1997年に起こったダイアナ妃の事故のことが80年代に刊行されたこの本に書かれている?ケングリムウッド氏自身がリプレイヤー??と一瞬思ったのです(笑)。でもこれはチャールズ王子との結婚式を匂わせたものだったのですね。早とちりでした。
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もし私自身が命をリプレイできるとしたら・・・。今現在の人生でも後悔の連続だったり、あの時に戻ってもう一度やり直したいと常々思ってしまうこともあるのですが、永遠に続く人生はそれよりももっと味気なく、寂しさばかりが募るものなのでしょうね。もしもあの時に戻れたとしても同じ道を再び辿ってゆこう・・・と思えるよう、日々を大切にし、巡り合う出逢いに改めて感謝し、これからの人生後半戦をささやかに歩んでいけたらいいなと思います。そんな気付きを改めて与えてくれた素晴らしい物語でした。北村さん、この本をご紹介して下さり本当に有り難うございました。

fumiさん、大和の講座、申し込んでくださってありがとうございます! 今、鋭意準備中です。海外作品がテーマの講座は初めてで、たくさん読んでいる方には笑われてしまうかもしれないのですが、わたしなりに、こんなのがあるよ、面白かったよという話ができればと思っています。お会いできるのを楽しみにしています!

そしてこの『リプレイ』、手に取って、読んでくださってありがとうございます。読みながら何度か、物語からちょっと離れて「もし自分だったら……」と頭の中に思い描く、そんな感じの読書だったのではないでしょうか。翻訳物で500ページ超の本を読み切るって、達成感もありますよね。
わたしは30代の頃までは「昔に戻りたいなんて思わないなー、別に」と思っていたのですが、40代前半になって「なんて自分は考えなしの選択ばかりしてきたのだろう」と思い悩み、今もその渦中です。しかし、考えても考えなくてもとりあえず人生は続くのだなとも思っています。

『リプレイ』は、絶版になっていないのもすごいなあと思います。新潮文庫は優れた海外エンターテインメント作品をたくさん刊行してくれているのですが、今、手に入らないものも多く(電子書籍化もされていなくて)いつか復刊されますようにと願っている小説も数多くあります。またいつかそんな話もできたらと思います。
それでは、12月にお会いしましょう!

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