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2017年2月24日 (金)

プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

表紙 購入
アン・ウォームズリー 著
向井和美 訳
紀伊國屋書店
1,900円(税別)
ISBN978-4-314-01142-6

受刑者たちと課題本について意見を交わす、塀の中の読書会。行動的で慈悲深い友人のキャロルに誘われておずおずと参加したジャーナリストの著者は、次第に彼らとの友情をはぐくんでいく。「自分の内面の奥深くに降りていかざるを得ない、読書という行為」は参加者に何をもたらしたのか。本が人を、その人生を変える可能性があるということを示したすばらしい記録です。

2017年2月17日 (金)

不時着する流星たち

表紙 購入
小川洋子 著
角川書店
1,500円(税別)
ISBN978-4-04-105065-1

がらくたのように見えるものが入った裁縫箱を手放さなかった姉。散歩同盟会長に生真面目な手紙を書く老紳士。文鳥を子どもとしてかわいがることにした夫婦。グレン・グールド、ローヴェルド・バルザーなど有名無名の人物や「放置手紙調査法」など、物語の着想の種となったものが1編ごとに明かされる短編集。清潔感があり、生真面目で慎み深くてグロテスク。「死」に縁どられた物語たちの不穏さにうっとりしてしまいます。

2017年2月10日 (金)

短くて恐ろしいフィルの時代

表紙 購入
ジョージ・ソーンダーズ 著
岸本佐知子 訳
角川書店
1,300円(税別)
ISBN978-4-04-791644-9

国民は7人いるのに領土は1人分しかない内ホーナー国を取り囲む大きな外ホーナー国の平凡な中年男フィルが、あれよあれよという間に内ホーナー国を迫害する独裁者になってゆく超ブラックな寓話。バカバカしさにともなうユーモアが細部にまで施されていて「なんじゃこりゃ」と笑いながら読んでいると「あ、こんなこと起きるわけないと思ってるから笑ってるんだ…」と気付き、笑った分だけ心底ゾッとさせられます。今、読むべき1冊です。

2017年2月 3日 (金)

私をくいとめて

表紙 購入
綿矢りさ 著
朝日新聞出版
1,400円(税別)
ISBN978-4-02-251445-5

32歳の会社員、黒田みつ子は脳内にもうひとりの自分「A」を住まわせている。召喚すればいつでも話し相手になってくれる彼は、唯一無二の心強い存在だった。微妙な距離の同年代の男性、多田くんとの恋をAに勧められ、1歩踏み出してみようかと思うみつ子だったが…のほほんとしているようで黒いところもあるみつ子の、ハレもケもあるおひとりさまの日常。爽やかなのにそこはかとなく不気味な自問自答の小説です。