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2016年7月 1日 (金)

逆襲、にっぽんの明るい奥さま

表紙 購入
夏石鈴子 著
小学館文庫
510円(税別)
ISBN978-4-09-406303-5

言うことを聞かない子どもに苛立つ、我関せず的な夫に失望する、アレルギーを理解しない姑に爆発しそうになる…それでも、外からは普通に見える顔で毎日をやり過ごしてゆく「奥さま」たちの8つの物語。〈優しい心は、自分一人の力で 手に入れるのは難しいもののような気がする〉という言葉に頷いてしまう方、表に出してはいけないと思っているあなたの気持ちがここに記されているかもしれません。

2016年6月24日 (金)

1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代

表紙 購入
柳 澤健(やなぎさわ・たけし)著
集英社
1,600円(税別)
ISBN978-4-08-781610-5

知る人ぞ知る存在だった荒井由実、タモリ、野田秀樹…これだ、と思った音楽、映画、才能を、手柄を立てたりせず世の中に紹介し続けた伝説のパーソナリティ・林美雄さん。なぜ彼の深夜番組は熱狂的に支持されたのか。資料とたくさんの人たちの証言で当時の空気を再現した、あるアナウンサーの評伝でありラジオ論でもあるノンフィクション。共有する思い出がない世代の気持ちも強く惹きつける1冊です。

2016年6月17日 (金)

偽詩人の世にも奇妙な栄光

表紙 購入
四元康祐(よつもと・やすひろ)著
講談社
1,600円(税別)
ISBN978-4-06-219393-1

吉本昭洋(よしもと・あきひろ)は13歳のとき、中原中也の詩に出会った。中也に耽溺し古今東西の詩をむさぼり読み、しかし自分は「書くべきことを持たない空っぽ」だと自覚する昭洋。やがて彼は商社に入社。辣腕ビジネスマンとなり海外を飛びまわっていた32歳のとき、ニカラグアで衝撃的なできごとに遭遇する…神の視点で昭洋の半生を綴り、考察と問いを投げかける考え抜かれた文章に魅了されます。139ページと短いものの、濃厚な読み心地が約束された傑作です。

2016年6月10日 (金)

レモンケーキの独特なさびしさ

表紙 購入
エイミー・ベンダー 著
管啓次郎 訳
角川書店
2,200円(税別)
ISBN978-4-04-110485-9

ママが作ってくれたレモンケーキは、おいしいのに、うつろでからっぽな味がした…何かを食べるとそれを作った人の感情が分かる能力を得てしまった少女ローズ。寄り添ってくれたのは、無口な兄ジョゼフの親友・ジョージだった。母の浮気、ジョゼフの秘密、平凡に見える父、そしてこのやっかいな能力と共存していかなければならない、私。家族と自分の複雑さを見つめ続けるローズの語りに惹きつけられる長篇小説。もの悲しくも幻想的なある場面がいつまでも心に残ります。